控除について

Q.エネルギー需給構造改革推進税制(エネルギー需給構造改革推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)というのは、どのような制度なのですか?

A.法人が平成4年4月1日より平成24年3月31日までの間(以下「指定期間」といいます)に新品のエネルギー需給構造改革推進設備等の取得又は製作若しくは建設(以下「取得等」といいます)を行い、その取得等を行った日より1年以内に国内にあるその法人の営む事業の用に供した場合、その事業の用に供した日を含む事業年度に特別償却か税額控除の適用を受けられるとする制度です。
 ただし、法人が平成21年4月1日より平成24年3月31日までに新品のエネルギー需給構造改革推進設備等の取得等を行い、その取得等を行った日より1年以内に国内にあるその法人の営む事業の用に供した場合、その事業の用に供した日を含む事業年度に、即時償却が可能とされています。
上記の制度は平成23年12月税制改正で廃止となりましたが、平成24年4月1日前に取得等を行って1年以内に事業の用に供した資産に関してはそれまで通り適用されることになりました。
また、平成20年4月1日以降になされる所有権移転外リース取引によって賃借人が取得したものとされる資産に関しては、特別償却(即時償却が含まれます)の適用はありませんが、税額控除の適用はあります。

1.適用対象法人
(1)特別償却
  特別償却については、青色申告書を提出する法人が適用対象法人とされています。
(2)税額控除
  税額控除については、中小企業者か農業協同組合等で青色申告書を提出する法人とされています。
なお、中小企業者というのは、次の法人のことです。
・資本か出資を有しない法人のうちで常時使用する従業員の数が1,000人以下である法人
・資本金か出資金の額が1億円以下である法人
  ただ、同一の大規模法人(資本若しくは出資を有しない法人のうちで常時使用する従業員の数が1,000人を上回る法人又は資本金若しくは出資金の額が1億円を上回る法人のことであり、中小企業投資育成株式会社は除外されます。以下同じです)に発行済株式か出資の総数か総額の2分の1以上を所有されている法人と2以上の大規模法人に発行済株式か出資の総数か総額の3分の2以上を所有されている法人は除外されます。

2.適用対象事業年度
 指定期間にエネルギー需給構造改革推進設備等の取得等を行い、その法人の国内の事業の用に供した場合におけるその事業の用に供した日を含む事業年度(合併による解散以外の解散の日を含む事業年度と清算中の事業年度は除外されます)が、この制度の適用対象事業年度とされています。
 ただ、即時償却については、平成21年4月1日より平成24年3月31日までにエネルギー需給構造改革推進設備等の取得等を行い、取得した日より1年以内にその法人の国内の事業の用に供した場合におけるその事業の用に供した日を含む事業年度(合併による解散以外の解散の日を含む事業年度と清算中の事業年度は除外されます)が、適用対象事業年度となっています。

3.適用対象資産
 その製作か建設の後事業の用に供されたことのない次のエネルギー需給構造改革推進設備等で、指定期間に取得等を行い、その取得等を行った日より1年以内に国内にあるその法人の営む事業の用に供されたものが、この制度の適用対象財産とされています。
(1)電気の安定的な供給に著しく役立つ配電の設備で一定のもの(ただし、これらの資産を貸付けの用に供した場合は対象とされません。)
 (2)建築物に関わるエネルギーの使用の合理化に著しく役立つ設備で次のもののうち一定のもの(ただし、その設備が設置された建築物が一定の基準に該当することについて一定の証明がなされた場合におけるその設備に限定されます。確定申告書等に、建築物の適用条件に該当するものであると所管行政庁等が確認したことを証明する書類を添える必要があります。また、これらの資産を住宅の用に供した場合は対象とされません。)
ア.建築物の室内の温度、エネルギーの使用の状況等に応じた空気調和設備、照明設備その他の建築設備の運転と管理をすることでエネルギーの使用量の削減に役立つ設備
イ.建築物の熱の損失の防止と建築物のエネルギーの効率的利用に役立つ設備
(3)次の減価償却資産でエネルギーの有効利用に著しく役立つもののうち一定のもの(ただし、これらの資産を貸付けの用に供した場合は対象とされません。)
ア.その利用形態が電気かガスの需要量の季節か時間帯による変動の縮小に著しく役立つ機械その他の減価償却資産
イ.製造工程が連続化された機械、廃熱を製造工程において有効利用する機械その他製造若しくは加工又は役務の提供の方法を改良した機械その他の減価償却資産
ウ.廃エネルギーの回収を行う機械、電気の動力、熱等への変換の合理化等を行う機械その他の減価償却資産
(4)風力、太陽光その他化石燃料(非化石エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律第2条第1号に定められた化石燃料のことです)を除くエネルギー資源の利用に著しく役立つ機械その他の減価償却資産(上記(3)に当てはまるものは除外されます)で新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法第2条に定められた新エネルギー利用等に役立つもののうち一定のもの(ただし、これらの資産を貸付けの用に供した場合と電気事業法第2条第1項第9号に定められた電気事業の用に供した場合は対象とされません。)

4.償却限度額
特別償却の適用を受ける場合における償却限度額は、特別償却限度額と普通償却限度額を合算した額とされています。
 特別償却限度額は、そのエネルギー需給構造改革推進設備等の基準取得価額の30%に当たる額となっています。
 なお、基準取得価額というのは、上記3(1)と3(3)アについてはその取得価額に50%を乗じた額のことであり、その他の資産についてはその取得価額のことです。
 ただ、平成21年4月1日より平成24年3月31日までに取得等を行い、その取得等を行った日より1年以内に国内にあるその法人の営む事業の用に供したエネルギー需給構造改革推進設備等に関しては、取得価額より普通償却限度額を差し引いた金額に当たる額が特別償却限度額とされます。すなわち、取得等を行った資産の取得価額を即時に償却することが可能です。

5.税額控除限度額
税額控除限度額は基準取得価額の7%に当たる額となっています。
ただ、その税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%に当たる額を上回るのであれば、その20%に当たる額が限度とされます。

6.税額控除限度超過額の繰越し
 税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%に当たる額を上回ることにより、その事業年度に税額控除限度額の全てを差し引ききれなかった金額(以下「繰越税額控除限度超過額」といいます)につき、1年間の繰越しが可能です。

7.適用を受けるための手続き
 (1)特別償却
特別償却の適用を受けるには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書を添えて申告しなければなりません。
 (2)税額控除
税額控除の適用を受けるには、確定申告書等に控除を受ける金額を記すほか、その金額の計算に関する明細書を添えて申告しなければなりません。
 (3)繰越税額控除限度超過額の繰越控除
繰越税額控除限度超過額の繰越控除を受けるには、繰越税額控除限度超過額が発生した事業年度以降の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書を添えて、かつ、繰越税額控除限度超過額の繰越控除を受けようとする事業年度の確定申告書等に繰越控除を受ける金額を記すほか、その金額の計算に関する明細書を添えて申告しなければなりません。

8.その他
・特別償却の適用を受ける代わりに、特別償却限度額以下の金額を損金経理によって特別償却準備金として積み立てることか、その事業年度の決算確定日までに剰余金の処分によって特別償却準備金として積み立てることで、損金の額に算入することも可能です。
・一つの資産につき、この制度による特別償却と税額控除の適用を重複して受けることは不可能です。
・この制度による特別償却か税額控除の適用を受ける資産につき、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却又は他の税額控除の適用を重複して受けることは不可能です。

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