A.相続税を算出するに当たり、被相続人が残した借入金等の債務を遺産総額(相続時精算課税の適用を受ける贈与財産があれば、その価額を加えます)より控除できることになっています。
控除できる債務は、被相続人が死去した際に存在した債務で確かであると判断されるものです。
なお、被相続人に課税される税金で被相続人の死去後相続人等が納めたり徴収されたりすることと
なった所得税等の税金については、被相続人が死去した際に確定していないもの(相続時精算課税適用者の死去によってその相続人が承継した相続税の納税に関わる義務は除外されます)でも、債務として遺産総額より控除することが可能です。
ただ、相続人等の責任に基づき納めたり徴収されたりすることとなった延滞税や加算税等は、遺産
総額より控除できないとされています。
また、葬式費用は債務とはいえないものの、相続税の算出時に遺産総額より控除できることになっ
ています。
そして、生前に被相続人が購入したお墓の未払代金等非課税財産に関わる債務は、遺産総額より控除からできないことになっています。
債務等を控除できる者は、その債務等を負担することとなる相続人や包括受遺者(相続時精算課税の適用を受ける贈与で財産を受領した者が含まれます)です。
上記の包括受遺者というのは、遺言で遺産の全部か何分のいくつ等と遺産の全体に対する割合で財産を付与された者のことです。
ちなみに、相続人や包括受遺者でも、相続か遺贈で財産を取得した際に日本国内に住所を有しない者で次のどちらにも当てはまらない者は、遺産総額より控除できる債務の範囲が限定され、葬式費用も控除できないことになっています。
・相続や遺贈で財産を受領した際に日本国籍を持ち、被相続人か財産を受領した者が被相続人の死去前5年以内に日本国内に住所を持ったことがあること。
・相続や遺贈で財産を受領した際に日本国籍を持たないものの、被相続人が日本国内に住所を持っていること(平成25年4月1日以降の相続か遺贈で取得する財産に関わる相続税につき適用されます)。