控除について

Q.試験研究費の総額に係る税額控除制度というのは、どのような制度なのでしょうか?

A.「試験研究費の総額に係る税額控除制度」というのは、青色申告法人の各事業年度(合併による解散以外の解散の日を含む事業年度と精算中の事業年度は除外されます)において損金の額に算入される試験研究費の額が存在する場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額より控除することができるという制度です。
 なお、この制度については、「中小企業技術基盤強化税制」との重複適用は不可能とされています。

1.試験研究費の額
この制度の対象とされる試験研究費の額というのは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に関わる試験研究のために必要である原材料費、人件費及び経費や、他の者に試験研究を委託するために払う費用等の額のことです。
ただ、試験研究に充てるために他の者より支払いを受ける金額が存在する場合については、その金額を差し引いた金額とされています。

2.税額控除限度額
この制度による税額控除限度額は、その事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額に下記(2)アの税額控除割合を乗じて算出した金額です。
ただ、税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を上回る場合については、その20%相当額が限度となります(平成21年4月1日より平成24年3月31日までに始まる各事業年度と平成25年4月1日より平成27年3月31日までに始まる各事業年度においては、20%相当額ではなく30%相当額とされています)。
 ちなみに、「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」によって平成20年4月1日より平成29年3月31日までに始まる各事業年度(以下「適用年度」といいます)において、下記(1)か(2)に当てはまる場合((1)については、設立事業年度は除外されます)には、どちらかの選択適用によって試験研究費の総額に係る税額控除制度による税額控除限度額とは別に税額控除が可能です。このときの税額控除限度額は各々次の通りとされています。
 ただ、これらの税額控除限度額がその事業年度の法人税額の10%相当額を上回る場合については、その10%相当額が限度となります。
 (1)ア.試験研究費の額が下記(2)イの比較試験研究費の額を上回り、かつ、下記(2)ウの基準試験研究費の額を上回る場合(平成20年4月1日より平成26年3月31日までに始まる各事業年度)
  税額控除限度額=(試験研究費の額−比較試験研究費の額)×5%
 イ.下記(2)オの増加試験研究費の額が下記(2)イの比較試験研究費の額の5%を上回り、かつ、適用年度に損金の額に算入される試験研究費の額が下記ウの基準試験研究費の額を上回る場合(平成26年4月1日より平成29年3月31日までに始まる各事業年度)
  税額控除限度額=増加試験研究費の額×30%(下記(2)カの増加試験研究費割合が30%に満たない場合は増加試験研究費割合)
(2)試験研究費の額が下記エの平均売上金額の10%相当額を上回る場合(平成20年4月1日より平成29年3月31日までに始まる各事業年度)
  税額控除限度額=(試験研究費の額−平均売上金額×10%)×超過税額控除割合
  超過税額控除割合=(試験研究費割合−10%)×0.2
ア.税額控除割合
税額控除割合は10%ですが、試験研究費割合が10%に満たない場合には次の算式で算出した割合となります。
税額控除割合=(試験研究費割合×0.2)+8%
試験研究費割合=その事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額÷平均売上金額
税額控除割合に小数点以下3位未満の端数(%表示にあっては、小数点以下1位未満の端数)が存在する場合には、これを切り捨てることになります。
イ.比較試験研究費の額
   比較試験研究費の額というのは、適用年度開始の日前3年以内に始まった各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額を平均した額のことです。
ウ.基準試験研究費の額
   基準試験研究費の額というのは、適用年度開始の日前2年以内に始まった各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額のうちで一番多い額のことです。
エ.平均売上金額
平均売上金額というのは、適用年度と適用年度開始の日前3年以内に始まった各事業年度の売上金額の平均額のことです。
  オ.増加試験研究費の額
   増加試験研究費の額というのは、適用年度において損金の額に算入される試験研究費の額より比較試験研究費の額を差し引いた残額のことです。
  カ.増加試験研究費割合
   増加試験研究費割合というのは、増加試験研究費の額の比較試験研究費の額に対する割合のことです。

3.適用を受けるための手続き
この制度の適用を受けるには、確定申告書等に控除を受ける金額を記すほか、その金額の計算に係る明細書を添えて申告しなければなりません。

4.繰越税額控除限度超過額等の繰越税額控除
この制度による税額控除の適用を受ける場合に、税額控除限度額が法人税額の20%相当額(平成21年4月1日より平成24年3月31日までに始まる各事業年度と平成25年4月1日より平成27年3月31日までに始まる各事業年度においては、30%相当額とされています)を上回ることにより税額控除限度額の全部を控除しきれなかったときは、その控除しきれなかった金額につき、一定の条件の下に1年間の繰越しが可能です(平成22年4月1日より平成25年3月31日までに始まる各事業年度における繰越税額控除に関しては、特例が存在します)。

関連記事

  1. Q.法人について、雇用者数が増えた場合に法人税の税額控除を受けら…
  2. Q.小規模企業共済法に定められた共済契約の掛金を払った場合には、…
  3. Q.建設業者が建設工事を請け負って工事を行う場合、未成工事支出金…
  4. Q.法人が一定の土地を譲渡した場合に、譲渡利益金額のうちの一定金…
  5. Q.仕入税額控除の適用を受けるためには、課税仕入れ等の事実を記し…
  6. Q.相続で財産を取得した場合において被相続人より相続開始前に財産…
  7. Q.直系尊属より教育資金の一括贈与を受けた場合においては、一定の…
  8. Q.私は長男を扶養親族とする給与所得者の扶養控除等申告書を提出し…

ピックアップ記事

PAGE TOP