控除について

Q.特別試験研究に係る税額控除制度というのは、どのような制度ですか?

A.「特別試験研究に係る税額控除制度」というのは、青色申告法人の各事業年度(合併による解散以外の解散の日を含む事業年度と精算中の事業年度は除外されます)において損金の額に算入される試験研究費の額のうちに特別試験研究費の額が存在する場合に、その特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額より控除することができるという制度です。
なお、この制度については、「中小企業技術基盤強化税制」との重複適用は不可能です。

1.特別試験研究費の額
 この制度の対象とされる特別試験研究費の額というのは、試験研究費の額のうちで、国の試験研究機関か大学に委託する試験研究、国の試験研究機関か大学と共同して行う試験研究、その用途に係る対象者が少ない医薬品についての試験研究等に関わる試験研究費の額のことです。
ただし、平成25年4月1日以降に支出する特別試験研究費の額については、試験研究費の額のうちで、国の試験研究機関、大学又は中小企業者に委託する試験研究、国の試験研究機関、大学その他の者と共同して行う試験研究、その用途に係る対象者が少ない医薬品についての試験研究等に関わる試験研究費の額のことです。
 そして、試験研究費の額というのは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に関わる試験研究のために必要である原材料費、人件費及び経費や、他の者に試験研究を委託するために払う費用等の額のことです。ただ、試験研究に充当するために他の者より支払を受ける金額が存在する場合においては、その金額を差し引いた金額とされています。

2.特別研究税額控除限度額
この制度による特別研究税額控除限度額は、その事業年度の損金の額に算入される特別試験研究費の額に特別研究税額控除割合(12%−試験研究費の総額に係る税額控除割合)を乗じて算出した金額です。
 ただ、特別研究税額控除限度額が、その事業年度の法人税額の20%相当額より「試験研究費の総額に係る税額控除制度」によって差し引かれた金額を差し引いた残額を上回るのであれば、その残額が限度となります(ただし、平成21年4月1日より平成24年3月31日までに始まる各事業年度と平成25年4月1日より平成27年3月31日までに始まる各事業年度においては、20%相当額ではなく30%相当額とされています)。
 ちなみに、「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」によって平成20年4月1より平成29年3月31日までに始まる各事業年度(以下「適用年度」といいます)において、次の(1)か(2)に当てはまる場合((1)については、設立事業年度は除外されます)には、どちらかの選択適用によって特別試験研究に係る税額控除制度による税額控除限度額とは別に税額控除が可能です。このときの税額控除限度額は各々次の通りとなっています。
ただ、これらの税額控除限度額がその事業年度の法人税額の10%相当額を上回る場合においては、その10%相当額が限度となります。
(1)ア.試験研究費の額が下記(2)アの比較試験研究費の額を上回り、かつ、下記(2)イの基準試験研究費の額を上回る場合(平成20年4月1日より平成26年3月31日までに始まる各事業年度)
税額控除限度額=(試験研究費の額−比較試験研究費の額)×5%
 イ.下記(2)エの増加試験研究費の額が下記(2)アの比較試験研究費の額の5%を上回り、かつ、適用年度において損金の額に算入される試験研究費の額が下記(2)イの基準試験研究費の額を上回る場合(平成26年4月1日より平成29年3月31日までに始まる各事業年度)
  税額控除限度額=増加試験研究費の額×30%(下記(1)オの増加試験研究費割合が30%に満たない場合は増加試験研究費割合)
(2)試験研究費の額が下記ウの平均売上金額の10%相当額を上回る場合(平成20年4月1日より平成29年3月31日までに始まる各事業年度)
税額控除限度額=(試験研究費の額−平均売上金額×10%)×超過税額控除割合
 超過税額控除割合=(試験研究費割合−10%)×0.2
試験研究費割合=その事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額÷平均売上金額
ア.比較試験研究費の額
比較試験研究費の額というのは、適用年度開始の日前3年以内に始まった各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額を平均した額のことです。
イ.基準試験研究費の額
基準試験研究費の額というのは、適用年度開始の日前2年以内に始まった各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額のうちで一番多い額のことです。
ウ.平均売上金額
平均売上金額というのは、適用年度と適用年度開始の日前3年以内に始まった各事業年度の売上金額の平均額のことです。
  エ.増加試験研究費の額
   増加試験研究費の額というのは、適用年度において損金の額に算入される試験研究費の額より比較試験研究費の額を差し引いた残額のことです。
  オ.増加試験研究費割合
   増加試験研究費割合というのは、増加試験研究費の額の比較試験研究費の額に対する割合のことです。

3.適用を受けるための手続き
この制度の適用を受けるには、確定申告書等に控除を受ける金額を記すほか、その金額の計算に係る明細書を添えて申告しなければなりません。

4.繰越税額控除限度超過額等の繰越税額控除
この制度による税額控除の適用を受ける場合に、特別研究税額控除限度額が法人税額の20%相当額(平成21年4月1日より平成24年3月31日までに始まる各事業年度と平成25年4月1日より平成27年3月31日までに始まる各事業年度においては、30%相当額となっています)を上回ることによって特別研究税額控除限度額の全部を控除しきれなかったときは、その控除しきれなかった金額につき、一定の条件の下に1年間の繰越しが可能とされています(平成22年4月1日より平成25年3月31日までに始まる各事業年度における繰越税額控除に関しては、特例があります)。

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