控除について

Q.直系尊属より教育資金の一括贈与を受けた場合においては、一定の金額までは贈与税が課されないのですか?

A.平成25年4月1日より平成27年12月31日までに、個人(租税特別措置法第70条の2の2第2項第2号に定められた教育資金管理契約(以下「教育資金管理契約」といいます)を結ぶ日において30歳未満の者に限定されます)が、教育資金に充当する目的で、次のいずれかのことを行った場合は、その信託受益権、金銭又は金銭等の価額のうちで1,500万円までの金額(既にこの「教育資金の非課税」の特例の適用を受けて贈与税の課税価格に算入しなかった金額が存在するなら、その算入しなかった金額を差し引いた残額)に当たる部分の価額は、贈与税の課税価格に算入されないことになっています。
・その直系尊属と信託会社の間の教育資金管理契約を基に信託の受益権を取得した場合
・その直系尊属からの書面による贈与によって取得した金銭を、教育資金管理契約を基に銀行等の営業所等において預金か貯金として預け入れた場合
・教育資金管理契約を基にその直系尊属からの書面による贈与によって取得した金銭等で証券会社の営業所等において有価証券を購入した場合
そして、次のいずれかの事由に当てはまったことで教育資金管理契約が終わった場合に、その教育資金管理契約に関わる非課税拠出額より教育資金支出額(下記1の(2)の教育資金に関しては500万円が上限です)を差し引いた残額が存在するときには、その残額は次のいずれかの事由に当てはまる日の属する年の贈与税の課税価格に算入されることになっています。
・教育資金管理契約に関わる信託財産の価額がゼロになった場合、教育資金管理契約に関わる預金若しくは貯金の額がゼロになった場合又は教育資金管理契約を基に保管されている有価証券の価額がゼロになった場合に受贈者と取扱金融機関の間でこれらの教育資金管理契約を終わらせる合意が存在したことでその教育資金管理契約が終わったこと。
・受贈者が30歳に達したこと。
なお、上記の「金銭等」というのは、金銭か公社債投資信託の受益証券のうちで一定のもの(いわゆるMRFかMMF)のことです。また、「非課税拠出額」というのは、教育資金非課税申告書か追加教育資金非課税申告書に教育資金の非課税の特例の適用を受けるものとして記された金額を合算した金額のことです(1,500万円が上限です)。「教育資金支出額」というのは、取扱金融機関(受贈者の直系尊属か受贈者と教育資金管理契約を結んだ金融機関等のことです。以下同じです)の営業所等において教育資金の支払いの事実が確認され、記録された金額を合算した金額のことです。

1.教育資金
 教育資金というのは、次に掲げる(1)か(2)の金銭のことです。
(1)学校等に直接払われる金銭で、次に該当するもの
ア.入学又は入園のための試験に関わる検定料
イ.入学金、授業料、入園料及び保育料並びに施設設備費
ウ.学用品の購入費、修学旅行費又は学校給食費その他学校等における教育に伴い必要である費用に充当するための金銭
エ.在学証明、成績証明その他学生等の記録に関わる手数料とこれに類する手数料
(2)学校等以外の者に、教育に関する役務の提供として直接払われる金銭その他の教育のために直接払われる金銭で、次に該当して教育のために払われるものとして社会通念上相当と判断されるもの
ア.教育に関する役務の提供の対価
イ.スポーツか文化芸術に関する活動その他教養の向上のための活動に関わる指導への対価として払われる金銭
ウ.施設の使用料
エ.アの役務の提供かイの指導において用いる物品の購入に必要な金銭で、その役務の提供か指導をする者に直接払われるもの
オ.上記(1)のウの金銭で、学生等の全部か大部分が払うべきものと学校等が判断したもの
 なお、上記の「学校等」というのは、次の施設を設置する者のことです。
・学校教育法第1条に定められた学校、同法第124条に定められた専修学校、同法134条第1項に定められた各種学校
・学校教育法第1条に定められた学校若しくは同法第124条に定められた専修学校に当たる外国の教育施設かこれらに準ずる外国の教育施設として租税特別措置法施行規則第23条の5の3第3項に定められたもの
・独立行政法人水産大学校、独立行政法人海技教育機構の施設(海技大学校、海上技術短期大学校、海上技術学校)、独立行政法人航空大学校及び独立行政法人国立国際医療研究センターの施設(国立看護大学校)
・職業能力開発校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発促進センター及び障害者職業能力開発校(障害者職業能力開発校と職業能力開発総合大学校以外は、国若しくは地方公共団体又は職業訓練法人が設置するものに限定されます。)
・児童福祉法第39条第1項に定められた保育所その他これに類するものとして租税特別措置法施行規則第23条の5の3第2項に定められたもの
・就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第7条第1項に定められた認定こども園(学校教育法第1条に定められた幼稚園と児童福祉法第39条第1項に定められた保育所は除外されます。)

2.一括贈与時に非課税の適用を受けるための申告手続き
 教育資金の非課税の特例の適用を受けるには、受贈者が、教育資金非課税申告書をその教育資金非課税申告書に記した取扱金融機関の営業所等を経由し、その受贈者の納税地の所轄税務署長に対して、信託がなされる日、預金若しくは貯金の預入を行う日又は有価証券の購入を行う日(以下「預入等期限」といいます)までに提出する必要があります。
 また、教育資金非課税申告書が取扱金融機関の営業所に受理されたら、その受理がなされた日にその受贈者の納税地の所轄税務署長に対する提出が行われたものとして扱われます。
 ちなみに、預入等期限までに教育資金非課税申告書の提出が行われなければ、教育資金の非課税の特例の適用を受けることは不可能となります。また、教育資金非課税申告書の提出は取扱金融機関の営業所等を経由して行う必要がありますので、預入等期限までに税務署で行うべき手続きは存在しません。

3.教育資金の払出しと教育資金の支払い
 教育資金の非課税の特例の適用を受ける受贈者は、教育資金の支払いに充当した金銭に関わる領収書その他の書類か記録でその支払いの事実を証明するもの(相続税法第21条の3第1項第2号の定めの適用を受けた贈与で取得した財産が充当された教育費に関わるものは除外されます。以下「領収書等」といいます)を、受贈者が選んだ方法ごとに規定された次に掲げる(1)か(2)の提出期限までに、取扱金融機関の営業所等に対して提出する必要があります。
ただし、上記の教育資金管理契約終了の事由のうちのいずれかによって教育資金管理契約が終わった日において取扱金融機関の営業所等に対して未提出である領収書等に関しては、次に掲げる(1)か(2)の提出期限ではなく、その教育資金管理契約が終わる日の属する月の翌月末日までに、その領収書等を取扱金融機関の営業所等に対して提出することが必要です。
(1)教育資金を払った後にその実際に払った金額を教育資金管理契約に関わる口座より払い出す方法(のみ)をその口座からの払出方法として選んだ場合
領収書等に記された支払年月日より1年を経過する日
(2)上記(1)以外の方法を教育資金管理契約に関わる口座の払出方法として選んだ場合
領収書等に記された支払年月日の属する年の翌年3月15日
 なお、上記(1)か(2)を選んだ後に選択を変えることは認められていません。
また、上記(2)の場合において、その年中に払い出した金銭を合算した額が、金融機関等に提出された領収書等で教育資金の支払いに充当したことを金融機関等が確認した金額を合算した額より少額であるときには、金融機関等が教育資金支出額として記録する金額は、その払い出した金銭を合算した額が上限です。
ちなみに上記の「領収書等」に、「教育資金の非課税」の定めによって最初に信託がなされる日、預金若しくは貯金の預入を行う日又は有価証券を購入する日前に払われた教育資金に関わるものや上記の教育資金管理契約終了の事由のうちのいずれかによって教育資金管理契約が終わる日後に払われた教育資金に関わるものは該当しません。

4.教育資金管理契約が終わった場合における手続き
 上記の教育資金管理契約終了の事由のいずれかに当てはまったことで教育資金管理契約が終わった場合に、その教育資金管理契約に関わる非課税拠出額より教育資金支出額(上記1の(2)の教育資金に関しては、500万円が上限です)を差し引いた残額が存在するときには、その残額はその教育資金管理契約の終了の事由に当てはまる日の属する年の贈与税の課税価格に算入されることから、贈与税の申告義務を負う者は、納税地の所轄税務署長に対してその年の翌年の2月1日より3月15日までに贈与税の申告書を提出する必要があります(その贈与税の申告に適用される法令は、教育資金管理契約終了の事由に当てはまる日に施行されているものとされています)。
 ちなみに、教育資金管理契約が終わった日において取扱金融機関の営業所等に対して未提出である領収書等は、取扱金融機関の営業所等に対してその教育資金管理契約が終わる日の属する月の翌月末日までに提出することが必要です。
なお、受贈者の死去によって教育資金管理契約が終わった場合については、その残額は贈与税の課税価格に算入されないことになっています。

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