A.扶養親族を増やようとする者と減らそうとする者全て、すなわちこの場合は妻と夫が、その所属の変更を記した「確定申告書」を提出することによって、扶養親族の所属を変更することが可能です。
2人以上の居住者の扶養親族に当たる者をどちらの居住者の扶養親族とするかは、それらの居住者が提出するその年分の「予定納税額の減額承認申請書」、「給与所得者の扶養控除等申告書」、「従たる給与についての扶養控除等申告書」、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」又は「確定申告書」(確定申告書については期限後申告が含まれます。以下「申告書等」といいます)に記されたところによることとされています。
また、一度その申告書等によって所属が決まってからでも、再度その所属の違う記載を行った申告書等を提出すればその所属を再変更することは可能です。ただし、その場合は、扶養親族を増やそうとする者と減らそうとする者全てがその所属の違う記載を行った申告書等を提出することが必要です。
ちなみに、「修正申告書」や「更正の請求書」はこの場合における申告書等に該当しないことから、どちらかの居住者が一度確定申告書を提出しているのであれば、扶養親族の所属を変更することは不可能です。
したがって、例えば夫が長男を扶養親族とする給与所得者の扶養控除等申告書を提出して年末調整をしていて、妻は扶養親族を記さずに確定申告書を提出しましたが、夫が支払った年間の医療費が多額であったために、夫が長男を扶養親族より除く確定申告書を提出し、妻が長男を扶養親族に含める更正の請求書を提出したいと考えているという場合には、妻がいったん確定申告書を提出していることから、長男につき扶養親族の所得を変更することはできません。一度誰の扶養親族となるかが決まっても、以後提出する申告書等にこれと違う記載を行うことでその所属の変更が可能であるものの、扶養親族を増やそうとする妻が提出する更正の請求書は、この場合における申告書等に当たらないことから、扶養親族の所属の変更はできないということになります。