A.消費税の納税義務を負うのは、事業者及び外国貨物を保税地域より引き取る者とされています。
1.国内取引の場合
国内取引(非課税取引以外)の場合、事業として行った資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供について消費税の納税義務を負うのは事業者です。したがって、事業者に該当しない者には納税義務がないといえます。
この「事業者」というのは、法人及び個人事業者(事業を行う個人のことです。以下同じです)のことです。営利法人(株式会社等)、人格のない社団、公益法人、公共法人、国、地方公共団体等がこの法人に該当し、これらが課税資産の譲渡等をする場合は納税義務者となります。
ちなみに、課税期間に係る基準期間(事業年度が1年である法人についてはその事業年度の前々事業年度のことであり、個人事業者についてはその年の前々年のことです。以下同じです)における課税売上高が1,000万円を超えない場合、その課税期間の納税義務は免除されます。
ただし、平成25年1月1日以降に始まる事業年度又は年に関しては、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円を超えなくても特定期間(法人については原則としてその事業年度の前事業年度開始日以降6ヶ月の期間のことであり、個人事業者についてはその年の前年の1月1日より6月30日までの期間のことです。以下同じです)における課税売上高が1,000万円を超えた場合には、その課税期間より課税事業者とされています。特定期間における1,000万円の判定については、課税売上高ではなく給与等支払額の合計額で行うことも認められています。
事業を新しく開始した場合は、その時点においては基準期間の売上が存在しませんので、免税事業者とされるのが原則です。
ただし、基準期間の存在しない法人のうちで、その事業年度開始日の資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人は、免税事業者とはされないという特例があります。
また、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」において、特定新規設立法人に係る事業者免税点制度の不適用制度が設けられています。
なお、免税事業者は届出書を提出することで課税事業者となることを選択可能です。
2.輸入取引の場合
輸入取引の場合、消費税の納税義務を負うのはその輸入品を保税地域より引き取る者です。それゆえ、事業者のみならず、給与所得者や家庭の主婦といった者についても、輸入品を引き取ったら、納税義務を負うこととされています。
なお、輸入品を保税地域より引き取る者については、免税点は設けられていません。