A.会社法においては、株式会社はいつでも株主総会の決議により、資本金・準備金・剰余金の増減が可能です。旧商法においては任意積立金の積立てや取崩し、剰余金の資本組入れ等を行うためには、定時株主総会の決議が必要とされていましたが、会社法においては期中に臨時株主総会の決議で行うことが認められています。
会社法における資本金・準備金・剰余金の増減手続は、次の通りです。
1.準備金か剰余金の減少による資本金の増加
株主総会の普通決議によって、準備金か剰余金を資本金に組み入れます。
なお、新株発行と同時に準備金の額を減らす場合において、効力発生日の準備金の額がそれ以前の準備金の額以上であるときには、取締役会の決議(取締役会非設置会社については取締役の決定)によって行うことができます。
2.資本金か剰余金の減少による準備金の増加
会社法ができる前は、資本金や剰余金の額を減らして準備金の額を増やすことは不可能でしたが、会社法においては可能となっています。
資本金の額を減らして準備金の額を増やす場合には、株主総会の特別決議と債権者保護手続が必要となります。なお、新株発行と同時に資本金の額を減らす場合において、効力発生日の資本金の額がそれ以前の資本金の額以上であるときには、取締役会の決議(取締役会非設置会社については取締役の決定)によって行うことができます。
剰余金の額を減らして準備金の額を増やす場合には、株主総会の普通決議が必要となります。
3.資本金か準備金の減少による剰余金の増加
資本金の額を減らして剰余金の額を増やす場合には、株主総会の特別決議(資本金減少額の全額を欠損填補に充てる場合は定時株主総会の普通決議で足ります)と債権者保護手続が必要となります。なお、新株発行と同時に資本金の額を減らす場合において、効力発生日の資本金の額がそれ以前の資本金の額以上であるときには、取締役会の決議(取締役会非設置会社については取締役の決定)によって行うことができます。
準備金の額を減らして剰余金の額を増やす場合には、株主総会の普通決議と債権者保護手続(定時株主総会の場合は不要です)が必要となります。なお、新株発行と同時に準備金の額を減らす場合において、効力発生日の準備金の額がそれ以前の準備金の額以上であるときには、取締役会の決議(取締役会非設置会社については取締役の決定)によって行うことができます。また、準備金減少額を欠員填補に充てる場合において、一定の要件を満たすときには、決算承認取締役会の決議で足り、債権者保護手続は不要です。