A.会社法ができてから多様な機関設計が可能となりましたが、その会社がいかなる機関設計を採用しているのか、取締役会が設けられている会社なのか、監査役が置かれている会社なのか、会計監査人が置かれている会社なのかというようなことは、社外から見ても不明であるといえます。そのようなことが明らかになるように、会社の登記事項証明書というものが存在します。
それゆえ、取締役会を設けている、監査役を置いているといった事項は、全て登記することになっています。すなわち、会社がどのような機関設計を採用しているかということを、登記する必要があるのです。
会社法ができてから、登記事項の数が増加しました。同法ができる前から存在する会社について同法ができる前の機関設計のままで変更はしないという場合に必要となった最低限の登記手続は、次の通りです。
1.株式会社
・公開会社である子会社については、監査役が業務監査も行うことになったため、会社法が施行された時点で株主総会を開催し、いったん監査役を改選することが必要となりました。そして、変更の登記も必要となりました。
・監査役設置会社については、監査役設置会社である旨と社外監査役の氏名を登記する必要が生じました。
・会計監査人設置会社については、会計監査人設置会社である旨と会計監査人の氏名(又は名称)を登記する必要が生じました。
・一定の種類株式を発行している会社については、登記をやり直す必要が生じました。
2.有限会社
・持分に関して、議決権、利益の配当、残余財産の分配につき、特段の定めがある場合、種類株式に係る変更登記が必要となりました。
・通常の株式会社へ移行する場合、商号変更のための定款変更をする必要が生じました。そして、商号変更による解散・設立登記が必要となりました。
3.確認会社
確認会社の解散事由は定めておく必要がなくなりましたが、この解散事由を廃止せずに解散事由が発生した場合、会社が解散してしまうことになりました。解散事由を廃止する定款の変更は、株式会社については取締役会の決議(有限会社については取締役の過半数の決定)によって可能です。そして、解散事由抹消の登記が必要となりました。
なお、会社法施行前から存続している株式会社については、定款に株券を発行しない旨の定めがない場合、株券を発行する旨の定めがあるとみなされ、職権によりその旨の登記がなされています。株券不発行会社になるためには、株券を発行する旨を廃止する定款変更をするほか、その登記が必要となります。