A.会社法においては、株主会社が、自己株式の取得(特定のもの以外)や剰余金の配当(準備金減少や減資に伴う払戻しを含みます)に際して、株主に分配できる金銭等の総額に、一定の限度額が設定されています。このことを財源規制といい、この限度額を分配可能額といいます。
臨時株主総会の決議さえ得ることができれば、期中において、いつでも、配当を行うことができます。ただし、利益がないにもかかわらず配当を行ってしまうと会社の存続が危うくなる可能性もあります。それゆえ、財産規制が設けられているのです。
剰余金の分配可能額の計算については、第一に、決算日における剰余金の額を算出します。そして、決算日以後分配時点までの剰余金の増減を反映させて、分配時点の剰余金の額を算出します。その後、分配時点における剰余金の額から、自己株式の帳簿価額や期中の自己株式の処分価額等を控除して分配可能額を算出します。
期中に臨時配当を行う場合、臨時決算を組まずに分配可能額の範囲内で配当を行うことは可能です。しかし、利益が出ているので分配可能額を増やしたいということであれば、臨時決算を組むことによって分配可能額を計算し直すこともできます。
なお、会社の純資産額が300万円未満である場合は、分配可能額があるときにも、剰余金の配当を行うことは認められていません。