新会社法を確認する

Q.会社法において、株式会社の機関設計が自由化されたのですか?

A.会社法ができる前は、株式会社の機関設計は、一律に定められていました。株主総会の下に取締役会があり、取締役会の構成員として取締役が、株主の代わりに取締役を監視する監査役が存在し、この四つの機関が最低限必要でした。なお、大会社では、監査役の代わりに委員会を置くこともできました。
 一方、会社法においては、株式会社の機関設計に関して、株主総会は置かなければならず、取締役は1人以上必要であるものの、それ以外の株式会社の機関設計が大幅に自由化されました。取締役についても、会社法ができる前は必ず3人以上必要でしたが、会社法では取締役会を置く株式会社においては3人以上必要であるとされました。
 また、会計監査人については、大会社においては置かなければならないものの、大会社(資本金が5億円以上であるか負債総額が200億円以上である株式会社)以外の会社においては任意設置とされました。ちなみに、会社法ができる前は、資本金が1億円以下であってかつ負債総額が200億円に満たない場合は会計監査人を置くことができませんでした。
 取締役会については、公開会社においては置かなければなりませんが、非公開会社(その発行する株式の全てが譲渡制限株式である株式会社)においては任意設置とされました。ちなみに、会社法ができる前は取締役会を置かなければなりませんでした。
 会計参与については、会社法において新設された機関であって、任意設置とされました。そして、大会社以外の非公開会社が取締役会を置く場合には、会計参与を置くことによって監査役に代えることができるとされました。
監査役については、会社法ができる前は監査役を置かなければなりませんでしたが、非公開会社においては任意設置とされました。ただし、取締役会を置く会社においては原則として監査役を置くこととされました。
 監査役会については、非公開会社・委員会設置会社を除く大会社においては置かなければならないとされました。そして、取締役会を置かない場合は監査役会を置くことができないとされました。
 委員会については、監査役を置く会社においては委員会を置くことができないとされました。そして、会計監査人を置かない場合は委員会を置くことができないとされました。

1.大会社で非公開会社に該当する場合
 会社法においては上記の通り機関設計について定められたことにより、大会社であっても非公開会社である場合は、取締役会を置いても置かなくてもいいということになりました。取締役会を置かない場合には、取締役は1人で構いません。
 監査役会についても同様です。会社法ができる前は、大会社については監査役会を置かなければならず、監査役会を構成する監査役は3人以上必要でした。しかも、監査役の半数以上は社外監査役でなければなりませんでした。そして、監査役のうち1人は常勤監査役である必要がありました。一方、会社法においては、大会社であっても非公開会社である場合は、監査役会を置いても置かなくてもいいことになりました。監査人1人で、しかも社外監査役でなくても構わなくなりました。元役員や元従業員より選出した監査役や、社内で昇格した監査役でも構わなくなり、非常にやりやすくなったといえます。
したがって、会社法の下では、大会社であっても非公開会社に該当すれば、取締役1人で監査役1人という会社や、取締役会があって取締役は3人で監査役は1人という会社が認められることになりました。

2.大会社以外の会社で会計監査人を置かない非公開会社に該当する場合
 大会社以外の会社についても、会社法の下では、特に、会計監査人を置かない非公開会社に該当する場合には、全く新しい機関設計が可能となりました。
この場合において、取締役会を置かないのであれば、取締役は1人で構わず、監査役も不要ですので、株主総会と取締役が1人のみの会社、すなわち役員が1人のみの会社ができることになりました。一方、取締役会を置くのであれば、会計参与、監査役又は監査役会を置くことが可能(会計参与と、監査役か監査役会を併設することも可能です)とされました。
 そして、大会社以外の会社で会計監査人を置かない非公開会社に該当する場合において、監査役会を置かないのであれば、定款で監査役の権限を会計監査に限定することができるとされました。

3.改正会社法による社外取締役を置いていない場合の理由の開示
 平成26年6月に成立した改正会社法においては、監査役設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限ります)であってその発行する株式について有価証券報告書を提出しなければならないものが社外取締役を置いていない場合には、取締役はその事業年度に関する定時株主総会で、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないこととされました。この規定によって、上記のような監査役設置会社については社外取締役の選任が事実上義務付けられたとする見方もあります。ちなみに、改正会社法では、社外取締役の要件の見直し(親会社等の一定の関係者等を社外と認めないこと等)もなされています。

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