A.会社法においては、会計参与という新規の役員制度が定められています。あらゆる株式会社が、定款に定めることによって、会計参与を置くことが可能です。
会計参与は、取締役等と共同で、計算書類等の作成を行います。また、株主総会では、計算書類等の作成に関して株主が求めた事項につき、説明する義務を負います。そして、株主会社とは別に、計算書類等を5年間保存する必要があります。会社の債権者や株主より計算書類等の閲覧等を請求されれば、開示することが必要です。
会計参与になることができるのは、公認会計士(監査法人も含まれます)と税理士(税理士法人も含まれます)です。ただし、株式会社かその子会社の取締役、監査役、執行役、会計監査人又は支配人その他の使用人を兼ねることは認められていません。大会社以外の非公開会社については、監査役を置かずに、取締役と会計参与という機関設計や、取締役会と会計参与という機関設計もできるようになりました。
会計参与は株主総会において選任され、報酬や任期等については取締役と同様の規律によることになります。会計参与の氏名か名称は、登記事項となっています。また、会計参与の会社や第三者に対する責任については社外取締役と同様の規定が適用され、株式会社に対する責任については株主代表訴訟の対象になります。
会計参与の負う責任はかなり重く、取締役と同レベルの責任といえます。
日本でも今後は訴訟等が増加すると思われます。仮に、会計参与が決算書を作成して、その決算書を金融機関が信用し、会社の仕入先も決算書を見て、その内容であれば大丈夫だろうと商品をどんどん購入したとします。そして、実はこの会社は帳簿をごまかしていて、結局倒産してしまったとします。この場合、金融機関からはその決算書を信用してお金を貸したといわれ、仕入先からはその決算書を信用して商品を納めたといわれて、決算書が事実と異なっていたのであれば決算書を作成した会計参与が損害賠償をするべきであるということで訴えられる可能性が十分にあります。
決算書は、今後、より重要視されていくでしょう。したがって、大会社以外の会社でも会計原則に沿った決算書を作成していく必要があります。しかし、上場会社並みの難解な決算書を作成するのは、容易ではありません。上場会社は多数の人材を抱え、監査法人の監査も受けて、多様な指導も受けていますので、難解な会計処理や決算書の作成が可能となっているのです。そのような負担をあらゆる会社に強いるのは酷ですので、平成17年8月に、以後はこの指針に沿って適正な決算書を作成するようにという趣旨で、中小企業の会計指針が公表されました。