A.会社法において、非公開会社は取締役会を置かないことも可能となりました。取締役会を置かない会社に関しては、次のような規定が定められています。
1.取締役
(1)取締役は、1人でも構わない。
(2)2人以上の取締役を置く場合は、
・各取締役が、各々業務執行・代表権を有する。
・業務執行の意思決定は、原則として、取締役の過半数で決定される(定款によって、全取締役で組織される会議体に、業務執行の決定権を付与することも可)。
・定款や株主総会の決議によって、また、定款でもって取締役の互選によって、代表取締役を決定することができる。
(3)取締役の利益相反取引や協業取引については、株主総会の承認(普通決議)が必要である。
2.株主総会
(1)会社法や定款に規定された事項以外についても、株主総会で決議することができる。
(2)株主総会の招集通知については、次の通りである。
・会日の1週間前まで(定款によって、さらに短縮可)に発すれば足りる。
・書面や電磁的方法によらなくても構わない。
・会議の目的事項の記載や記録は不要である。
・計算書類や監査報告書の添付は不要である。
(3)各株主は、単独株主権として、総会における議題提案権を有し、その行使は制限されない。
(4)貸借対照表や損益計算書について、会計監査人を置いている場合でも、株主総会の承認が必要である。
(5)中間配当についても、株主総会の決議が必要である。
3.株式や株主
(1)株式の譲渡について、定款に格段の定めを設けない場合は、株主総会の承認が必要である。
(2)定款によって、少数株主権の全部について、その行使要件を引き下げるか、単独株主権とするこ
とができる。
(3)非公開会社については、単独株主権や少数株主権に係る6ヶ月の保有期間制限は課されない。
取締役会を置かない場合は、何かとシンプルですが、株主総会の権限が強くなってしまいます。したがって、仲のいい株主のみで固められているわけではなく、うるさい株主がいるのであれば、緩衝地帯として取締役会を置くのも選択肢の一つとなります。
また、取締役会を置かない会社では、株主総会が取締役会のような役割を担うことになりましたので、招集手続等が非常に簡素化されました。例えば、電話で株主総会を招集することもでき、「明日、株主総会をするよ」と全ての株主に連絡すればいいのです。招集通知を作成し、それに議案を載せて決算書を添えるというようなことが不要となりました。すなわち、取締役会のようなイメージで、株主総会を招集できるようになったといえます。