A.旧商法においては、株主総会の開催地について、定款に規定のない場合には、本店所在地かその隣接地に限られることになっていましたが、会社法においては、この制限が廃止されました。それゆえ、株主総会の開催場所を会社が柔軟に決めることが可能となりました。ただし、株主が著しく難しくなるような場所を選定すると、株主総会の招集手続が著しく不公正であることから株主総会決議の取消事由に該当するという可能性もあります。
例えば、旧商法の下では、新宿区に本店がある場合において、定款に規定がないときには、新宿区以外に株主総会を開催できるのは、同区に隣接する豊島区、渋谷区、中野区等に限定されていました。しかし、会社法の下では、中央区を開催場所とすることができるようになりました。新宿区に本社がある会社が中央区で株主総会を開催しても、それほど距離があるわけでもなく問題にならないということです。これほど交通の便も発達していることから、隣接区に限らなくてもいいでしょう。ただし、嫌がらせで、株主にあまり出席してもらいたくないので、どこかの離れ小島で開催しますというようなことは、その招集手続が著しく不公正であることから株主総会決議の取消事由に当たると思われます。
なお、法務省令によって、株主総会の開催場所が過去の開催場所と著しくかけ離れている場合には、その理由を開示しなければならないことになっています。極論すれば、株主全員が同意して、たまには石垣島でリゾート気分を味わいながら株主総会をしましょうということになれば、それは可能です。