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Q.株主総会の決議には、どのようなものがありますか?

A.株主総会の決議として、普通決議のほかに、特別決議と特殊決議が存在します。会社法における各々の決議方法や、特別決議・特殊決議の対象となる決議事項は、次のようになっています。

1.普通決議の方法
 議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席したその株主の議決権の過
半数の賛成をもって行われます(定款によって要件を変更することも可能です)。
 ただし、役員選解任の場合(下記2(2)シの場合以外)には、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席したその株主の議決権の過半数(定款によってこれを超える割合とすることができます)の賛成をもって行われます。

2.特別決議
 (1)決議方法
  議決権を行使できる株主の議決権の過半数(定款によって3分の1以上の割合とすることができます)を有する株主が出席し、出席したその株主の議決権の3分の2(定款によってこれを超える割合とすることができます)以上の賛成をもって行われます(定款によって、一定数以上の株主の賛成等、決議要件を追加することも可能です)。
 (2)決議事項(取締役会設置会社を前提とし、定款によって取締役会決議にできるものを除外します。)
  ア.全部取得条項付種類株式を取得する場合
イ.先買権者の指定請求によって自己株式を買い取る場合
  ウ.特定の株主より自己株式を有償取得する場合(子会社からの取得のとき以外)
  エ.譲渡制限株式の一般承継人(相続人等)に対し、その株式の売渡し請求を行う場合
  オ.株式併合を行う場合
  カ.公開会社が、第三者割当によって、有利な払込金額で新株発行や自己株式の処分を行う場合
キ.非公開会社が、第三者割当によって、新株の発行や自己株式の処分を行う場合
  ク.公開会社が、第三者割当によって、有利な条件で新株予約権の発行を行う場合
  ケ.非公開会社が、第三者割当によって、新株予約権の発行を行う場合
  コ.親会社が一定の子会社の株式を譲渡する場合(効力発生日において親会社がその子会社の議決権の過半数を有するとき以外)
  サ.監査役・取締役・執行役・会計参与・会計監査人の任務懈怠による損害賠償責任を一部免除する場合
  シ.監査役や累積投票で選任された取締役を解任する場合
  ス.現物配当を行う場合(株主に対して金銭分配請求権を与えるとき以外)
  セ.資本金の額を減らす場合(定時株主総会による欠損填補のとき以外)
  ソ.原則として、定款変更や解散、事業譲渡等を行う場合
  タ.原則として、株式交換や株式移転、組織変更、合併、会社分割を行う場合

3.特殊決議
 (1)会社法第309条第3項の場合
  ア.決議方法
   議決権を行使できる株主の半数以上(定款によってこれを超える割合以上とすることができます)であって、その株主の議決権の3分の2(定款によってこれを超える割合とすることができます)以上の賛成をもって行われます。
  イ.決議事項
   (ア)株式譲渡制限規定を定める定款変更を行う場合
   (イ)株式交換・株式移転・合併の対価として、公開会社である完全子会社・消滅会社の株主に対して、譲渡制限株式等が交付される場合の、完全子会社・消滅会社における株式交換契約・株式移転契約・合併契約の承認決議
(1)会社法第309条第4項の場合
  ア.決議方法
   総株主の半数以上(定款によってこれを超える割合以上とすることができます)であって、総株
主の議決権の4分の3(定款によってこれを超える割合とすることができます)以上の賛成をもっ
て行われます。
  イ.決議事項
   剰余金の配当を受ける権利や残余財産の分配を受ける権利、株主総会における議決権について、
株主ごとに違う取扱いをする旨の定款変更(廃止以外)を行う場合

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