A.会社法においては、合同会社という新たな会社類型が定められています。この合同会社については、出資者の責任は株式会社と同様に出資額を限度とする有限責任である一方で、会社内部の規律に関しては広く定款自治が認められる組合的規律が適用されるのが特徴です。
株式会社においては、出資額に応じた株主平等の原則を基に配当請求権や議決権が株主に付与されますので、出資をより多く行った者が有利である組織体系となっています。
一方、合同会社においては、会社の組織運営方法は、利益の分配方法も含め、出資額にかかわらず社員間で自由に決定できますので、人的資産重視型の組織体系を構築することができます。したがって、合同会社は、資力は少ないものの優れた技術や知識を有する人材がベンチャー事業に加わる場合等に活用することが期待されて設けられた会社類型です。
ちなみに、合同会社については、株式会社と比較して、設立や出資の履行の手続も、大きく簡素化されています。具体的には、次の通りです。
・定款の認証を要しない。
・出資の払込取扱銀行等を決定することを要しない。
・現物出資等の検査役の検査を要しない。
・出資額の範囲内で任意に資本金の額を決定できる。 等
それゆえ、有限会社を新設できなくなった現在では、それに変わる会社類型としての役割を合同会社は担っているといえるでしょう。