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医療法人設立より前に借入をした場合における残債を、医療法人の設立に際して引き継ぐことは可能でしょうか?

運転資金や消耗品購入費用の負債は引き継げませんが、拠出財産を購入するための金融機関への負債は引き継ぐことが可能です。ただし、引き継ぐためには、負債の残高証明等の書類が必要となります。

1.拠出財産とは
 拠出財産とは、医療法人を設立するために提供する財産のことであり、拠出した金額を定款に記すこととなります。拠出した純額は「基金」となります。現金だけでなく、土地や建物といった現物財産も拠出財産に含まれ、現物財産を拠出することを「現物拠出」と呼びます。
 医療法人設立に際して拠出できる財産の種類は、次の通りです。
(1)土地・建物
(2)現預金
(3)医業未収入金
(4)医薬品・材料等
(5)医療用器械備品
(6)什器備品
(7)電話加入権
(8)保証金等
(9)建物附属設備
(10)その他

2.ひも付き負債の引継ぎ
 医療法人の設立時には、土地・建物等の不動産や医療機器等の器具備品等の医療設備を法人所有とすることが可能です。
これらを購入するために個人が銀行等から借入を行った場合には、その借入金の残額やリース料の残債といったものは、全て医療法人に引き継ぐことができます。とりわけ銀行からの借入金は、利息が経費となりますので医療法人への引継ぎを可能な限り行うことに、税務上のメリットがあります。
医療法人の名義にする資産がひも付きであるか否かの判断基準については、「借入を行った日と資産を購入した日」を領収書で確認するのが基本です。

3.リース契約に係る留意点
 医院長個人から医療法人へと名義変更を行うには、リース会社の承諾を得なければなりません。したがって、前もってリース会社に連絡しておくことが重要です。

4.必要書類
 借入金の金額をひも付き負債として引き継ぐためには、金融機関に「負債残高証明及び債務引継承認願」というような証明書を発行してもらうことが必要となります。この証明書の発行手続きは金融機関によって異なりますので、早めに取り寄せるといいでしょう。
 そのほか、金融消費貸借契約書、返済計画書、資産を購入した際の売買契約書、領収書等の書類も必要となります。
基本的に移転財産と借入金がひも付きであることを証する資料が必要となるといえますが、必要書類や形式は都道府県によって異なることがあります。

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