A.内部統制は範囲がとても広く、新会社法の内部統制も、金融商品取引法(日本版SOX法)の内部統制も、いずれも重要です。しかし、同時に全てを行うことは難しく、とりわけ中小、中堅企業にとっては不可能に近いといえます。それゆえ、第一に両方の違いを認識することが、実務上、とても大切です。
新会社法には、四つの基準、四つのカテゴリー、四つの目的があります。その四つとは、法令順守、業務の有効性と効率性、資産の保全、財務報告の信頼性です。一方、金融商品取引法については、財務報告の信頼性のみです。したがって、新興市場や中小、中堅の上場企業にとっては、財務報告の信頼性を確実なものにしてから順次ほかの三つを達成していくのが、実務的でコストも抑えられるので適していると思われます。
上場企業は「有価証券報告書」を提出する分に関して「内部統制報告書」を確実に提出しなければなりません。財務報告の信頼性を第一に押さえる必要があると考えるのです。