グループ会社と法人に関わる会計

医療法人設立には、デメリットもあるのでしょうか?

医療法人設立にはメリットが数多くありますが、各々の医院の経営状況に応じて、それらのメリットを効果的に享受できるかどうかが決まります。また、医療法人設立には、社会保険に加入する義務が生じること、交際費の一部が損金不算入となること等のデメリットも存在しますので、デメリットの部分も考慮して、総合的に検討する必要があるといえます。
 医療法人設立のデメリットは、次の通りです。

1.社会保険に加入する義務が生じること
 個人の場合には、従業員が5人未満であれば、必ずしも社会保険に加入する義務はありません。
一方、医療法人の場合には、従業員の人数にかかわらず、強制加入とされています。社会保険はその約半分を医療法人が負担し、残りを従業員が負担することになっていることから、経営上のコストが上昇します。

2.交際費の一部が損金不算入となること
 個人の場合には、飲食やゴルフ接待等の交際費についてその全額を損金に算入することができます。一方、医療法人の場合には、交際費の全額を損金に算入できるわけではありません。出資金が1億
円以下の医療法人であれば、限度額600万円に達するまでの交際費の90%(540万円まで)が損金とし
て認められるだけであり、600万円を超過する部分の交際費は一切損金として認められません。この
ような限度額が多額かどうかは、各々の事情によって異なるでしょうが、交際費の状況も医療法人設
立の検討時に考慮することが重要です。
 ただ、中小法人の交際費課税の特例が拡充されましたので、平成25年4月1日より平成26年3
月31日までに開始する事業年度に支出した交際費に関しては、限度額が800万円とされ、その限度
額に達するまでの交際費の全額を損金に算入することが可能となっています。

3.医療法人のお金は院長個人の自由にはならないこと
 医療法人においては、剰余金の配当が禁じられ、院長個人に対する貸付けも制限されています。そ
れゆえ、収益が拡大した場合における利益処分や院長個人の急な資金繰りについて、柔軟な対応する
ことが不可能であるといえます。

4.事務処理が増えること
 例えば、役員変更等の登記の申請を法務局に対して行わなければならなかったり、決算書類を都道
府県知事に対して提出しなければならなかったりする等、必要とされる事務処理が増えます。

5.都道府県等による指導監督が強化されること
 都道府県知事による立入検査等の指導が強化されます。

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